おへそ別冊『人との距離を、整える』Sample 【column1】みんな、人づき合いに悩んでる

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編集部が運営するWebマガジン『暮らしとおしゃれの編集室』で人間関係に関するアンケートを実施。たくさんのお悩みが寄せられました。


人間関係に関するアンケート(299人回答)





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アンケートの回答でダントツに多かったのは、職場と家族にまつわるもやもや。編集部に寄せられたみなさんのお悩みをご紹介します。心理カウンセラーの前田利恵子さんのアドバイスもぜひご参考に。



仕事よりも悩ましい
職場


チームで仕事をしているのですが、みんなとうまくかみ合わない方がいて、みんな対その人、みたいな構図に。私はその人にもいいところはあると思うのですが、ほとんどの人は、その人を悪く言っていて……そういう雰囲気に巻き込まれるのが苦痛です(ぺん・49才)


もともとコミュニケーション不全の現場でしたが、リモートワークが浸透して、それがさらに加速したこと(みわ・32才)


大幅に年下の人とのコミュニケーションが増えてきたので、どんなマインドでいればわかり合えるか、思いや言いたいことが伝わるかに四苦八苦。あまり「同じだね〜」感を出しても?? ですし、偉そうにするのも?? です(yo0105・44才)


お昼休憩時の雑談は、楽しいけれど、ひとりで本を読みたいと思っています(あや・48才)


誰もやりたがらない仕事を「できない」と言えず、受けてしまいます。そんな仕事は上司も監督したくないようで、見て見ぬふりをされ、いつの間にか孤立しています(かさかさ・40才)


自分に自信がありません。人見知りですが、明るく話すことは苦ではないので、「いつも元気だね」と言われることも多く、「自信がない」と言うと「どこが?」なんて言われることも多々。それでも自信が持てないのです。先日、長く働いた職場を退職するとき、うれしいメッセージをたくさんいただいて、わざわざ会いに来てくれた人も。周囲の人たちに恵まれているのに、私なんかを好いてくれるはずない、という不安が消えないまま人づき合いをしてしまう自分がイヤになります(のむゆめ・46才)



■心理カウンセラー前田利恵子さんのひとくちアドバイス

やりたくない仕事を引き受けてしまうという方は、やりたくないけれど、自分を「いい人」のポジションには置いておきたい……というジレンマがあります。ここまではやるけど後はやらないとか、ある程度自分のなかでルール決めをしてください。そしてやりたくない仕事をやっている自分をほめましょう。チームで仕事をするときでも自分がどんな振る舞いをするかは自分で決めていいんです。みんなに合わせるのか、あえて合わせないのか。やらされているという気持ちだとつらくなりますから。最後の「自信がない」という方、結構多いケースです。私は指だけはきれいとか、声が素敵って言われるとか、ちょっとずつ自信のあるものに集中するような思考癖をつけていくといいと思います。


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愛があるからこその
ジレンマ
家族

<夫へのもやもや>


夫は休日に何か用事を入れて出かけないと「無駄に過ごした……」と言います。しかも私も一緒に行くのが当たり前だと考えています。私は仕事と思って一緒に出かけてあげますが、自分の時間を搾取されているという思いが年々強まっています(あや・48才)


2歳と4歳の子どもがいます。寝不足なまま起き、朝食を作り、片づけ、洗濯、掃除。そして子どもたちと遊ぶなか、やっと起きてきてソファでくつろぐ夫。子どもは遊びに行きたいと言いますが、入園のための小物作りや、ふだんしていない箇所の掃除など、私もしたいことがたくさん。結局夫はぐうたらするので、私が公園に連れていくことに。帰宅後、買い物に行き昼食準備。なかなかしたいことができません。こんな週末が続き、夫婦間にイヤな空気が。お互い黙るタイプで、不満をぶつけることができないのが悪いとわかっていますが……。ケンカやもめごとも体力を使うので極力したくなく、難しいです(さと・32才)


夫(59)は会社員で、それなりの管理職。間もなく定年を迎えます。家族思いで優しい人なのですが、ここ数年会社の論理を家庭に持ち込んで「自分が絶対に正しいから、こうするのがいいんだ!」的なことが増え、反発を感じています。会社で部下たちは従うかもしれませんが、家や地域でそれをやったら、イヤな年寄りになるよ、とケンカをしたことも。夫の母がものすごく頑固で、夫自身もそれに対してへきえきしていたはずなのに。歳をとるって、こういうことなんでしょうか。最近、老後を強く意識するようになってちょっと憂鬱です(あらかると・57才)


主人は基本的に言葉数が少ない人。家の中のことで、お願いしたり、ちょっとやってくれると助かるのだけど……と感じても私からなかなか言い出せず、だんだん機嫌が悪くなります。それを主人は、「察するのは無理だから伝えて」と言うけれど、こちらばかりお願いしている雰囲気になることや、相手がイヤな気分にならないよう、変な言い方にならないように気をつけていると、面倒になったり、なんで私ばかりが努力しなくてはいけないのかと、ものすご〜くもやもやしています(ねこ・52才)


主人とどうしてもケンカをする気になりません。文句があるときは私がダンマリで、空気を悪くします。主人にこうしてほしいということがあっても、主人の機嫌が悪くなるくらいなら自分でやったり我慢したほうがいいと考えてしまいます。ちゃんと向き合って話をすることにちゅうちょしてしまいます(慶子・55才)



■心理カウンセラー前田利恵子さんのひとくちアドバイス

夫との関係は不満をぶつけるのではなくて話し合いを持つこと。「何が」「どう大変なのか」を具体的に伝えたうえで、「やってほしいこと」と「時間」を明確に伝えてください。「ゴミ捨てて」と言ったら、女性は次のゴミ袋をかぶせるところまでやる、男性はゴミを捨てて終わり、という傾向があります。悪気はないし、逆に言うとやってほしいことをきちんと伝えればやってくれるわけです。ただしその場で「ゴミ袋かぶせて」とは言わず、月に一回の家族会議をするとか、ふたりでお茶を飲んでいるときなど落ち着いたシチュエーションで伝えるのがコツ。家庭は共同運営の場所なので、問題解決の話し合いをすることがとても大事です。


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親や子どもにイライラ


義母はいい人で、とてもお世話になっていますが、親切が暴走しすぎて、おせっかいに感じることが多々。私がきちんと断れればいいのですが……。日頃お世話になっているのに、悪く思うなんて……とも考え、悶々(なる・41才)


今振り返ると、小さい頃から母に頼られ依存され続け、コントロールされていた気がします。無意識に母親の期待に応えるべく頑張ってきましたが、大人になって、違和感を覚えるように。はっきり言いたいけれど、母親も高齢になり、今更言うのもなんとなくかわいそうな気がして悩んでいます(hal・47才)


私は長女で、要介護の実父(別居)がいます。病院のつき添い、ケアマネさんやヘルパーさん、施設の方、その他父の介護に携わっている人たちとの打ち合わせ、すべて私の仕事です。妹(独身)は遠くに離れていて、共働きの弟夫婦のところにも小さい子どもがいるので、忙しいのはわかりますが、何でも私なの? ともやもや。夫婦ふたり暮らしで、半分ボランティアのような仕事をしています。子どもたちも独立しているので確かに時間はあります。でも何かあれば私。弟や妹に相談しても「よろしくお願いします」だけ。たぶん暇な主婦だと思われているのでしょう。そんなもやもやした気持ちのまま、父に会うとつい八つ当たりしてしまい、悪いのは父じゃないのに、と落ち込みます。いっそのこと弟、妹とは少し距離を置こうかな、ほかに兄弟はいなくて、父のことをみるのは最初から自分ひとりだけと思っていたほうがラクなのかな〜と思ったりもします(はこ・58才)


男の子2人の母です。年齢と共に悩みがなくなるのかと思っていましたが。自分と子どもたちとの境界線がうまく引けずに、言いすぎたりイライラしてしまうことがあります。相手を尊重して上手な距離感でお互い心地よくやっていきたいと模索中です(直子・46才)


次女が2人の孫を連れてしょっちゅうやってきます。多いときは1か月のほとんどうちにいるのではないかというくらい。来てくれるのはうれしいことではありますが、娘はうちに来るとほぼ何もしないので、私自身仕事を持ちながらの孫たちのお風呂、食事作り、大量洗濯に追われて自分の時間は全然取れず、ヘトヘトになります。長女は自分の時間を削ってまでやることはないと言いますが、来てくれるなとも言えないし、娘に息抜きをさせてあげなければとも思うし……。孫たちが小さいうちはと考えてもいますが、もうそんなに若くもないし、自分のやりたいことをもっと楽しみたいとも思います。とても悩ましい毎日です(shoko・61才)



■心理カウンセラー前田利恵子さんのひとくちアドバイス

まず、冷たくても何でもいいからみなさんに思ってほしいのは、自分が生きている人生の主人公は、自分自身だということ。自分の人生を明日からお母さんに代わってもらうことはできません。だから冷たいと思われようが、自分を主人公にしてものごとを考えないと無理が生じてややこしくなっていきます。家族に対してもイヤならイヤだって思っていいんです。高齢であっても子どもであってもひとりの人ですから、尊厳を持ってきちんと自分の意見を伝えること。介護や同居など、イヤなものはイヤでいい。罪悪感を持たず、まずは「イヤだ」という自分の気持ちを抱き締めて認めてあげてください。そのうえで親のことをどうするのかと決めていきましょう。



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前田利恵子 -Rieko Maeda-
(株)MOF代表。心理カウンセラー。自身の経験から医療と家族の心理ケアを専門とし、夫婦間・家族のファミリーカウンセリングや思春期の子どものカウンセリングなど個々の心理カウンセリングまで幅広く行っている。



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『人との距離を、整える』より

■この記事が閲覧できるのは2022年6月30日までです

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